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ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。

恋の手本となりにけり

14赤、赤、赤。一面の赤色光が闇に花開く。車のテールライトと信号。その信号が赤から青に変わった途端にけたたましくエンジン音が響く大阪の大動脈、夜の御堂筋。そのすぐ横、呼び込みの声で賑わう曽根崎界隈を東にもう一筋入ると、そこには都会の喧騒が遮断された暗くて大きな空間が広がっていました。

日暮れから随分と経ったのにもかかわらず人々が行き交います。仕事帰りの急ぎ足、飲んだ後の酔いざましの一団、休息で煙草をふかしながら佇む白い割烹着姿の板前。静かに語らいを楽しみながら散策を楽しむ男女。速足で北新地方面に向かう着飾った女性。腰を降ろして携帯メールを見つめながらも時折不安げに辺りを見回す待ち合わせの女性。お相手はまだ仕事…かな?カランカラ~ンと本殿の賽銭箱前で誰かが鈴を鳴らしました。一念に何かを祈る若い女性の後姿。柔らかくて鈍い常夜灯の黄色光がとても優しい。夜でさえ人通りの途絶えることのない都会のオアシス。

1703(元禄16)年4月7日一組の男女がここで情死しました。堂島新地天満屋の遊女『お初』と内本町平野屋の手代『徳兵衛』。社会の不条理に金銭と色恋が絡んだ死の結末。この実話をもとに近松門左衛門が描いたのが『曾根崎心中』。人々の共感と涙を誘い参詣が絶えなかったとか。以来ここ『露天神社』は『お初天神』と呼ばれ、恋の成就を願う人々の聖地となりました。

貴賎群衆の回向の種
未来成仏疑ひなき
恋の手本となりにけり

近松はこう表現しました。翻弄されて生きる人生もあれば、貫き通して生きる人生も。そして、その狭間で苦しみ悩み続けることもまた人生かと。しばらく、そんなことを思い巡らしながら涼やかな空気に浸ってみました。境内には、仲良く座る二人のブロンズ像がライトに照らされています。近寄ってよく見ると二人の間のわずかな隙間に、誰かが置いたでしょう、折り鶴三羽がそっと置かれていました。とても小さいにもかかわらず大きさを違えて無造作に。しかし、そのほんのわずかな隙間でさえ決して許さぬかのように…

2006/06/11 posted by z