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ブログ…弊社秘書・スタッフの随想・メッセージ・独り言・・・。

自然とともに

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私にはこの秋から同居を予定している高齢の叔母がいます。叔母の家は都会なのに、なぜか池や田んぼに囲まれたのどかな地に建っています。自慢の大きなお庭には、春になると見事な花を咲かせる枝垂れ桜を中心に、一年中お花が楽しめるように色々な種類の木や花々が植えられています。

四月の初めにみんなを楽しませた桜が散ると、バラや優雅な牡丹の花がまた庭を違った雰囲気にしてくれます。家を囲んでいる塀が白い小さなハコニワジャスミンの花で覆われる頃…夏本番の到来です。1456大きな石の陰にひっそりとカラーや百合の花が咲くようすは涼しげでなんだか気品があり、私が桜の次に好きな景色です。

そして庭の奥で赤い彼岸花が並んで咲き出すともうそろそろ秋の気配…。暑い時期も過ぎ、金木犀の香りに包まれる頃には少し肌寒さを感じます。冬にはずっしり重たそうな実を付ける千両、万両、オモト…少しすると小手鞠がふんわり初春の風に揺れ出します。そうするとまたボケや梅、桃といった春の華やかなピンクで彩られていきます。一年を通して自宅に居ながら四季を感じることができるなんて…なんて贅沢なお庭…。

だったはずですが…叔母も今年で傘寿。

1457とてもじゃないけど一人では手に負えない状態で、木という木は剪定時期を逃し伸び放題。ツルものは石にもそこいら中の木々にも巻き付き、雑草で足の踏み場がない状態になっていました。叔母も毎日庭の手入れはするものの追いつかずこの様になってしまったと情けないような残念な表情を浮かべていました。

これはとにかく庭師を入れよう!と話していたのですが、いざ雑草を刈ってみると地面が出てくるのが面白く、叔母と2人で時が経つのも忘れて夢中になって庭の雑草を刈っていきました。途中、おんぶバッタの親子やなかなかお目にかかることのできないカエルともご対面。

そして桜の木の下にはとても根の張ったしつこい雑草があリ、この雑草の上にはあちこち赤い足の毛虫の様なムシがいました。でもなんでこの時期に毛虫??(これは後で謎が解けますが…)

1458とにかく、こんなに毛虫がいたら庭師さんに駆除されてただろうなぁ~自分で刈ってよかったと思い、ホッと胸を撫で下ろしながら進めていくと地面に何か眩しいものが!! アレ?金粉?? イヤ、明らかに何かチョウのサナギのような…どこか金色のポイントの付いたスパイクの様にも見えました。そして周りを見るとあちこちにいくらでもいるではありませんか!

直ぐに携帯で調べたところ、なんとツマグロヒョウモンというチョウのサナギでした。そして、その付近にギッシリ生えている根の張った雑草というのが実は道端にも咲いているスミレで、このスミレの葉っぱはツマグロヒョウモンの幼虫の大好物だということがわかりました。

と言うことは…あの毛虫は幼虫だったのか…。 全てが繋がりました。

叔母が庭の手入れをお休みしている間にチョウが沢山繁殖したのでしょう。これはこれでよい勉強をさせてもらったと自然に感謝する気持ちでした。そしてもちろん、サナギと幼虫は大切に元の場所に置いてきました。

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もう一つ厄介な雑草だと思い引っこ抜こうとしていたものがあります。叔母に聞くと、これは秋明菊と言ってもうすぐ可愛い白いお花を咲かすのよ。私、1460大好き!と話してくれました。叔母はそれから一ヶ月も経たないうちにステージ4の大腸癌に侵されていることがわかり、今も入院中です。

私はもうこの家には帰ってこられないと聞き、泣きながら冷蔵庫の掃除に行きました。その時、庭にはあの叔母が話していた秋明菊の花がニッコリ微笑んでくれていました。

名前にキクが付くもののキンポウゲ科の一輪草で小柄で和服のよく似合う叔母のようでした。朝鮮朝顔の花もいつもより増して満開に…まるで主人の帰りを待っているようでした。

次の日、無事手術が終わり、先生方の予想よりは進行していないことがわかりました。あのお花たちは既に知っていたのかな?そんなことが頭をよぎりました。

術後、今日で4日目…。仕事が終わって病院に顔を出すとニッコリ嬉しそうに微笑んで沢山昔のお話を聞かせてくれます。楽しい旅行の話、時には苦労した話…日に日に元気になっていく様子に私も疲れが吹っ飛びます。

秋明菊がまだ咲いている時期に家に帰ること、そして春にはお庭で花見をすることを目標に、私もできることはしてあげたいと思っています。
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2016/10/29 posted by Muse-M