大きくて真っ赤な太陽が西の空、スカイビルあたりに沈み、梅田が黄昏（たそがれ）につつまれるころ、弊社のある大阪市北区芝田の横路地あたりは、にわかに活気づきます。

繁華街ほどハデではありませんが電光看板や赤ちょうちんが灯りはじめ、のれんが店の表に掛けられ、店々から漏れる照明光が路面にだんだん目立つようになる、そして、その路面を速くも遅くも皆、一日の緊張感から解き放たれた足どりたちが行き交いだす…大手企業や事務所ビルの林立するこの地域ならではの暮景が織りなされていきます。

その中でも、ひときわ活気にあふれる場所が、弊社の路地向かいにあります。そのお店の屋号は『げん気』。お好み焼・焼きそば・鉄板焼きを中心として、一品料理も豊富で多彩な居酒屋です。

店内は、周りにテーブル席が並んでいて、中心には大きなコの字型カウンターがレイアウトされています。コの字の中には、主な鉄板料理を焼く大型鉄板があり、その前、つまりカウンターの中心がマスターの定位置です。そこは、変わらぬ味を守り続けるメイン厨房であるとともに、繁忙を極める店の切り盛りをする司令塔なのです。

暖簾をかき上げると、カウンターから「いらっしゃい！」とマスターの威勢の良い声。趣味はゴルフとのことで、日に焼けた精悍な顔が出迎えてくれます。カウンターに１人座り、ビールを注文し、マスターと何気ない会話をする…１日の疲れを癒やしに来るのでしょう、そんなサラリーマン・ビジネスマンが多く目につきます。

お好み焼きを焼きながら、店の様子に絶えず気を配り、従業員に細やかな指示を飛ばす、そして、その合間に、お客様とカウンター越しにさり気なく言葉を交わす…そのマスターの姿と人柄は、この店のまた一つの大きな魅力です。

そして、さらにまた一つの大きな魅力が、マスターの奥様で、この店のママ。美人で気さくでお洒落（容姿も気風も、きっと生き方も）とくれば、もう何をかイワンヤです。トップの店頭での写真は、ママのお出迎え。（実は、マネキネコもお出迎えしてくれているのですが、お気づきでしたでしょうか？）この日は、年に一度の『げん気』のゆかた祭り。一部女性がゆかた姿で接客をしてくれるということで、店内はいつになく華やか、そして大盛況でした。

何といっても、メニューで目を引くのが名物の『広島焼き・Ｌ』です。豪華・豪快で、キムチも入っている独特の風味。言葉にするまでもなく、食べごたえ十分（・・；　グループでお出かけの際は、ぜひ一度ご賞味下さい。　芝田の思い出としても。。。

数台設置されたテレビで店内のどこからでも阪神タイガース観戦ができ、『げん気杯』ゴルフコンペの優勝パーティー写真がズラっと壁面を飾っていて、それを肴にゴルフ談義に興じ、周りを気にせず会話に盛り上っているかと思えば、その一部では飲食にひたすら徹するグループがいる。創業１８年…雑多で快活を好むと言われる大阪人気質を魅了し続ける、何か居心地の良さがあるようです。守り続けた風味に、さまざまに交錯した人間模様と、もしかすると、もう消え去ってしまったかもしれない浪速人情なるものが、パラパラッと降りかかっているのかもしれません。青海苔あたりといっしょに。

JR大阪駅の北側すぐ、その狭い路地の一画、ここだけは、いつも人々の活気にあふれて夜がほどよく更けてゆきます。