未だ暑さの残る初秋のある日、友人と奈良に出かけました。

何度訪ねても飽きることがなく心和ませてくれる大好きな場所奈良。まずはかねてから行きたいと思っていた中国料理のお店でお昼を頂きました。こちらのお店は少し変わったスタイルです。予約の際に駄目な物だけを伝えておいて、後はすべてお任せというコースのみのお店です。

中華料理ではなく中国料理という名乗りのお店で、素材の味を活かして料理されておられてなるべく奈良の食材を使用しておられるとのことでした。あっさりとした味付けで言われなければ中国料理とはわからない程のお料理で、中国の物だけでなく各国の調味料等を使用されているので中国というよりは多国籍料理のような感じを受けました。

おいしくお料理を頂き、その名残で中国茶が頂きたくなるだろうと思い、探しておいたお茶のお店へ足を運びました。

お店の雰囲気もさることながら、メニューも充実していて本格的なお店です。大好きな高山烏龍茶をオーダーする事にしましたが、お店の方にお勧めをお伺いしたところ、メニューにはまだ載っていない梨山の新茶があるとお聞きしたので、そちらを頂くことにしました。

梨山はかなり高山なのですっきりとした味わいが際立つということで楽しみにして友人と談笑しながら待っていました。

お茶菓子と鉄瓶が運ばれてきてゆっくりとお茶を楽しめる用意が整いました。

まずはお店の方に入れて頂き、2煎目、3煎目とどんどん茶葉が開いていき味がはっきりとしてきて、思わず『おいしい・・・』と私。もちろん友人も違う種類のお茶のオーダーでしたが、『おいしい』と満足げな様子。

『美味しいですか？よかったです。』とお店の方。隣りの席の常連さんとおぼしき方も私と同じお茶をオーダーされていたようで『おいしいなあ・・・』テーブルの向いにはお店の方が座られて、『おいしいでしょ？』と。

『おいしい』なんとシンプルな言葉でしょう。

グルメリポーターの方達は色んな言葉を駆使して感想を伝える努力をしておられて、実際視聴者である私達は単純な言葉より、より複雑な言葉で伝えられる方が納得して理解したような気持ちになりますが、本当に心から出る言葉はシンプルな言葉なのかもしれません。

『うれしい』『ありがとう』『たのしい』等など・・・

簡単な言葉に本当の感動の気持ちが表れるんだということがわかり、これから自分も自分以外の人が発する言葉にも気を付けて耳を傾けたいな・・・と思いました。

出来れば悲しいシンプルな言葉は耳にしたくないですが、嬉しいシンプルな言葉はこれからはいっそう心地よく聞こえる様になると思うとちょっとハッピーな気分です。

以前に買った中国茶用の茶器や茶盤等の茶道具がどこかに眠っているはず。

久しぶりに『おいしい』の為にだしてみよう。